東芝Rupo

私がワープロで最初に使ったのが東芝Rupoです。ワープロ専用機で、平成になった直後あたりから2年ほど使っていました。

東芝Rupoが活躍していた当時は、文字のサイズのパターンが1種類しかなくて、強調したい文字は横2倍のサイズにするくらいしかありませんでした。操作も機能キーと他のキーを組み合わせての独自のものなので、東芝Rupoの操作になれてしまうと、他のワープロ専用機やワープロソフトが使いにくくなります。

当時のワープロはページ設定・文字入力・罫線がそれなりに自由に操作できれば十分でした。東芝Rupoはそれらの機能そこそこのスピードでできたので、当時は東芝の売れ筋商品でした。

そんな東芝RupoもWindowsの登場によりPCが普及することにより役目を終えて、いつのまにか姿を消していきました。ワープロ専用機は10年が寿命だったのです。

富士通OASYS

富士通OASYSもワープロ専用機です。私は数回しか使ったことがないのですが、あまりに独自な操作を持っていたので、インパクトの強さでよく覚えています。

富士通OASYSでまず驚いたのが、ページ設定は0ページ目にあるということです。他のワープロでは文書とページ設定は独立しているのに、富士通OASYSの場合は文書の先頭ページのさらに前ページがあって、そのページにページ設定を行うのです。他のワープロを使っていた人間からするとものすごい違和感でした。

次に、シフトキーと矢印キーで罫線が引けることです。罫線を引くことは簡単だと思ったのですが、罫線を解除するとレイアウトがかなり崩れてしまいます。そのため文書を作成する場合には罫線を先に引いてから文字入力をしたほうがいいようです。

富士通OASYSについてはあまりよく知らないのでこれ以上のことは書けませんが、ページ設定と罫線があまりに特徴的だったので今でも印象が強いです。

ワープロを最初に使ったのが富士通OASYSだった人は、富士通OASYSが一番使いやすいといっていました。そのためOASYSファンが存在することも事実です。富士通ではOASYSのWindows版のワープロソフトとして販売しています。いまだに販売しているということは少なからず売れているのでしょう。

一太郎

私がPCのワープロソフトとして最初に使ったのが一太郎です。当時はバージョンが4だったと思います。一太郎は徳島県のジャストシステムという会社が開発し、販売しているPC用のワープロソフトです。

一太郎は日本語入力が賢いという印象で、ページ設定も罫線も個人的に標準的な機能でした。当時は表計算としてLotus1-2-3を一緒に使っていたので、一太郎とLotus1-2-3のそれぞれのメニュー操作を使い分けなければいけませんでした。ただそれでもPCのソフトということでフロッピーディスクが読み込めれば、違う機種のPCでも操作ができることは当時としては画期的でした。

なお、個人的に一太郎のここがすごいという印象は実はあまりありません。逆にここが劣っているという印象もあまりありません。私は一太郎と一緒にインストールされていた花子で図形を描画するのが好きでした。花子での操作が今も他のソフトでキー操作とマウス操作で図形を描画するとき役立っています。

一太郎はOSがDOSだった頃は圧倒的なシェアだったのですが、今はシェアをかなり落としています。OSがWindowsになってからの対応が遅れたことが致命的だったのでしょう。ただ一太郎は学校や官公庁や一部の企業で根強く使い続けられているようです。

20年ほど前はジャストシステムは、PCソフトを開発した地方の企業の成功例として雑誌でも取り上げられていました。PCやソフトの世界はサイクルが早くて20年前と今とではまったく環境が違っているとことを思い知らされます。

Word

私が1993年にPCを購入したときにワープロソフトとしてWordを購入しました。当時はWordのバージョンがまた1.2Aだったと思います。Wordはマイクロソフト社のワープロソフトでアメリカで開発されたものを日本語版にして発売されました。Wordは他の日本語ワープロとはかなり特殊で、日本語ワープロになれた人間にはかなり使いにくいものでした。

第一に、ページの途中にいきなり文字を入力することができないことです。Wordは文字をページの上から文字を挿入して文書を作成するために、日本語ワープロでは当たり前である、ページの途中からいきなり文字を入力するというフリーカーソル機能がないのです。Wordの文字書式・段落書式・ページの考え方がわかれば問題ないのですが、直感的に文字を入力する日本語ワープロに慣れた人には不満だったようです。

第二に、文字の中に罫線が自由に引くことができないことです。Wordでは罫線は段落罫線か表でしか引くことができません。図形なら罫線が自由に引けますが、文字と独立しているのでくこともできますが文字と連動しません。個人的にはWordで文書を作成するには、罫線は最低限にするように心がけます。

第三に、フォントによって文字幅が異なり、揃えたい位置に文字が揃わない。Wordの問題というよりWindowsのフォントの問題なのですが、日本語ワープロになれていると、文字の位置が揃わないことにストレスを感じるようです。インデントとタブを組み合わせれば解決できるのですが、日本人はインデントとタブを苦手にしている人が多いのです。

現在のWordは日本人向けにさまざまな改良がされて、以前に比べるとだいぶ使いやすくはなっています。ただちょっと特殊な編集をすると、なかなか思った通りに編集できなかったりします。私は日本人の持つ文字単位の細かなこだわりや罫線への執着の発想を転換できれば、Wordは使いやすいと思っています。私がWordが使いにくい時代から工夫しているからかもしれませんが・・・

Wordも定期的にバージョンアップをして、あるバージョンになって突然操作が変わったりします。Wordを使いこなすには細かな操作を覚えるのではなく、書式の概念を覚える方が実は近道なのです。

WordPerfect

私がWordPerfectを使ったことはほとんどありません。WordPerfectはOSがDOSだった頃、アメリカで最も売れていたワープロソフトです。日本では一太郎、アメリカではWordPerfectといわれていた時代がありました。当時日本でも外資系の会社では英文をWordPerfectを使って文書を作成していたとのことです。

WordPerfectもWordに遅れて2年ほどしてWindows版を発売しました。私はPCショップでWordPerfectを体験しました。体験して感じたのはWordよりも多くの操作ができて、当時のWordでは不可能だった縦書きの編集や図の任意角回転もできて、非常に高機能だと思いました。ただいかんせん当時のPCはロースペックだっただけに、WordPerfectがストレスなく動くPCはなかったのです。その上DOSとの互換性のためにWindowsとの相性の悪い操作もありました。

ソフトウェアの世界では昔から言われているのですが、一番すぐれたソフトが売れるとは限らないのです。その時代のPCでそこそこ快適に動くそこそこの機能のソフトが売れるのです。技術力というよりマーケティング力が重要なのです。その後のWordPerfectが急速にシェアを失ってゆく姿を見て、つくづくマーケティングの力の恐ろしさを感じました。