紙カード

紙カード

私がコンピュータの仕事を始めた頃には、コンピュータにデータの入力するときには紙カードが使われていました。紙カードは別名パンチカードと呼ばれる厚紙で、1枚に半角で80文字のデータが入力できます。紙カードはコンピュータの端末が少なくて画面から直接入力ができなかった時代に活躍していました。紙カードはカードリーダと呼ばれる装置で読み込まれ、コンピュータの記憶装置に記憶されます。

平成になったころからデータ入力がコンピュータの端末から直接行われることになり、紙カードは徐々に姿を消してゆきました。現在は紙カードを見つけようとしてもなかなか見つけられないほど骨董品になってしまいました。ただ紙カードはデータ入力で長年活躍していたため、様々な形で影響を及ぼしました。

紙カードがつかれていた汎用コンピュータの開発言語のCOBOLやFORTRANは紙カードに合わせて80バイトで記述されます。汎用コンピュータで使われるJCLも80バイトです。プログラムやJCLを編集するエディターも80バイトで、汎用コンピュータの端末画面も1行は80バイトです。

PCにおいても起動時の画面やコマンドプロンプトは1行が80バイトになっています。これはマイクロソフトがIBMから依頼を受けてOS画面を開発する際に、画面の1行を80バイトにした名残です。このことから間接的にPCの画面も紙カードの影響があるのです。

私は紙カードでプログラムを作成したことはありませんが、ジョブエントリーとして紙カードでJCLを作成したことはあります。紙カードをタイプする端末はキーボードに癖があり、入力は大変でした。紙カードはカードの順え読み込まれるため、並び順が非常に重要です。そのため紙カードを落として並び順がわからなくなると悲惨な目にあいます。せっかく作った紙カードを落としてしまい、紙カードを拾ってから涙を流しながら並び替えた覚えがあります。

以前はデータ入力を専門に行う人をキーパンチャーと呼んでいました。手書き帳票をキーボードで入力して紙カード(パンチカード)を作成していたためにキーパンチャーと呼ばれていました。現在では紙カードが使われなくなったため、今ではキーオペレータと呼び名が変わりました。

磁気テープ

磁気テープ

汎用コンピュータが日本で広まった昭和50年頃はハードディスクが高価でしかも容量が小さかったため、記憶装置の主流は磁気テープでした。磁気テープはカセットテープやビデオテープと同じ構造のテープです。

私がSEの仕事を始めたころは磁気テープはオープンリールと呼ばれて、テープ装置にオープンリールを装着して、読み込みの際にテープ装置にテープが巻き込まれ、終了するとテープが巻き戻されて、テープ装置から取り外されます。

オープンリールは、フルサイズが2400フィートでハーフサイズが1200フィートで、記憶密度が1600bpiと6250bpiでした。テープはブロック単位に記憶され、ブロック間にギャップという隙間がとられます。そのためたくさんのデータ記憶するためには、ブロックサイズを大きくしなければなりません。2400フィートに6250bpiの記憶密度で大きなブロックサイズにしてもせいぜい100MBのデータしか入りません。

ハードディスクの価格が下がり、記憶容量が大きくなるにしたがって、オープンリールの役目が終わり、ハードディスクの時代になりました。磁気テープはハードディスクと違ってランダムアクセスができません。そのためデータファイルとして磁気テープは使われなくなりました。

ところが磁気テープは、オープンリールからDAT・DLT・LTOと徐々に大容量化して、バックアップメディアとして今でも活躍しています。現在でもサーバ機のバックアップにも使われています。磁気テープはバックアップメディアとしては安価で使いやすいのです。

最近では磁気テープが復活して生産が増えているようです。磁気テープは意外に長持ちします。CDやDVDなどは傷がついたりすると全く読めなくなります。データの保管という意味でも磁気テープが見直されています。磁気テープというと時代遅れの響きですが、現在でもつかわれているということは、実はすぐれたメディアなのです。

フロッピーディスク

フロッピーディスク

私が汎用コンピュータやオフコンで仕事をしているときから、フロッピーディスクは使われていました。一般的にフロッピーディスクと呼ばれてますが、IBMではディスケットという名で呼ばれていました。当時のフロッピーディスクは8インチと大きく、ドーナツ盤のレコードと同じくらいのサイズでした。フロッピーディスクの記憶容量も1MBもなく大変容量が少なかったのですが、当時は文字データだけだったので、フロッピーディスクにもたくさんの情報が入りました。

PCが登場すると、フロッピーディスクは小型化して3.5インチが中心になりました。PCではフロッピーディスクが最初に読み込まれる設定になっているため、Aドライブ・Bドライブはフロッピーディスクドライブのためにあけられています。そのため最近ではフロッピーディスクドライブがないPCばかりで、多くの人はAドライブの存在を知らないので、何故Cドライブから始まるのか疑問に思う人がいるでしょう。

フロッピーディスクが使われなくなった最大の理由は記憶容量が1.44MBしかないことです。そのためUSBメモリの登場とともにフロッピーディスクの役割は終わってしまったのです。

昔からPCを使っている人の家には使われなくなったフロッピーディスクが眠っています。私も10年以上フロッピーディスクを使っていません。たまに大掃除でフロッピーディスクを見つけるとつい昔のことを思い出します。

ラインプリンター

ラインプリンター

私が汎用コンピュータで仕事をしているときは、プログラムのコンパイル結果やジョブ実行結果をラインプリンターで出力していました。ラインプリンターは連続用紙に1行ずつ高速に印刷をして、非常に音のうるさいプリンターでした。

ラインプリンターの連続用紙は、たしか縦11インチで横が15インチの連続用紙でした。1行に半角で132文字で、1ページに66行印刷できました。ちょっと大きなリストを出力すると100ページ以上にもなり、そのリストが要らなくなると裏紙として活躍していました。私が新人時代は裏紙がお昼の社内給食弁当に敷物になっていました。

ラインプリンターはサーバやPCでは使われることはまずありません。そのため汎用コンピュータがまだ残っている会社にはあるかもしれません。汎用コンピュータの世界を離れて20年以上が経ちます。私もここ20年ラインプリンターの姿を見ていません。機会があればぜひ見てみたいものです。